即位の礼、象徴天皇とはを問う

令和元年5月1日、新天皇が即位した。残念な事は冒頭のあいさつで、皇室典範および特例法によって即位したとの言葉である。憲法第1条の最も重要な国民の総意に基くという天皇の地位に触れてほしいものだ。それには、国民の総意の下象徴として勤めてまいりますくらいのあいさつが欲しい。

会場となった松の間も、国民の代表者の一段も二段も高いところに天皇を立たせたのも前例という悪しき慣習にのっとった設えかと。現憲法下であれば同じ目線に立つ場所で言葉を交わすのが礼儀ではないか。そのためか天皇の言葉にしても上から目線で「国民統合の象徴として云々・・・」は、天皇の地位は従前からの地位を引き継ぎ、国民の総意に基づく地位であることを軽視した発言のようにも受け取れた。

昨日の退位、そして今日の即位といい、テレビを拝聴した限り象徴とは何か憲法との整合はどうかの疑問はさらに広がる。そしてあいさつの中で「歴代の天皇のなさりようを心にとどめ・・・」の言葉も気になるところだ。それは歴代の君主天皇の考えや行い方を参考にとの発言のようにも受け取れる。

また、上皇を引き合いにねぎらいと感謝の言葉を述べた後、上皇から皇位を継承したという言葉も気になる。なぜなら国民の総意に基づく地位を受け継ぐという配慮に欠けた言葉と読んだからだ。皇太子時代の面影は薄れその表情は前天皇に比べ厳しいものに写った。

退位から即位までテレビ中継を見てきたが、現在の天皇と過去の天皇とはその地位と立場が大きく違うのである。はっきり申せば前例はないのである。そのことを踏まえた内容に欠けていたのも残念である。民衆主義、民主主義国家とはなにか、貧富の差ばかりか地位や身分の差もないそれが民主主義であろう。

参考までに憲法第1条の条文を上げておく。

第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

今後の皇室の在り方については民主主義国家にふさわしい憲法に基づいた扱いが大切ではなかろうか。


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2019.5.1

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