前代未聞の文化勲章受章 |
元プロ野球選手長嶋茂雄さんが文化勲章受章との報道に唖然とした。なにも長嶋氏が嫌いだというのではない、子供のころは野球フアンであり六大学時代に活躍した長嶋、杉浦の活躍は目覚ましくプロ野球への関心が高まった。だが長嶋氏の受賞は、過去の文化勲章の重みから大きく外れ軽さを感じて唖然としたまでだ。つまり分不相応という感じである、さらにこれほどまでにスポーツ礼賛国に代わってしまったのかと嘆くのである。
野球はあくまで誰もが親しめる娯楽の延長にあって、専門知識や技術が必要とされる学術芸術分野とは明らかに異なるのである。昨今の日本はあまりにもスポーツ礼賛主義というかスポーツ推進主義の色が濃くなってきた。また社会においてもスポーツ出身者の台頭が目立ち、国会議員、知事、首長などなど現役時代の名前の売り込みからその職に就いていくものが後を絶たない。これらのことが日本にとって本当によいことなのか改めて考えさせられる。スポーツで大切な世代を通過したものが政治の世界や教育文化の世界に入って本当に適切な仕事ができるのか考えていただきたい。
今回の受賞も31日に衆議院選挙を見据えた人気取りの選考かと疑いたい。むしろスポーツを勲章の対象とした人物が誰なのかが気になってならない。確かに長嶋氏はプロ野球界をリードしそのプレーぶりは読売新聞系の日本テレビをネットワークに全国に放映され、巨人大鵬卵焼きの子供の好物の代表格としてフアンを虜にした。それが勲章の対象として評価されたのかと思うと甚だ遺憾極まる。
野球はあくまで娯楽の延長線と捉えるべきであり、国民は誰もが勲章に値する高度な知識の上に立つものとは考えまい。まさに良識のない選考というか社会というべきか、文化勲章という勲章に汚点を残した。これを機に今後文化勲章の選考基準も大きく変わっていくだろう。ならば有名無実、お飾り的文化勲章など廃止するほうがよい。あらためて氏を推薦し、選考した人物に対し反省を求める。
2021.10