負けるな!小平奈緒 |
ピョンチャンオリンピックで史上初の女子500メートルで金メダルに輝いた小平奈緒の活躍は特筆に値する。さらに昨年世界新記録を打ち立てた1000メートルでも銀メダルと、日本スピードスケート界にあって男女問わずこれほどの活躍をしてきた選手を他に知らない。ワールドカップ15連勝、そして500メートルに絞れば目下27連勝と負けなしの快進撃だった。その小平には不運が付きまとっていた。500メートルはインスタート、1000メートルはアウトスタートと何れも不利なスタートの連続だった。特に1000メートルは断然インスタート有利といわれる中、1分13秒82の記録で銀メダルをとった。金メダルのオランダ選手はインスタートで1分13秒56で小平とは僅か0.26秒差、インとアウトの差は0.4秒あるといわれる。もし仮に同じインスタートだったら小平のほうが0.04秒上回り金メダルということもあり得た。一発勝負の競技にはこうした不公平な面がある。
選手団の主将を務め戦前から主将は勝てないといったジンクスも飛び交う中、小平は頑張った、そしてジンクスを乗り越え、金銀二つのメダルを獲得した。こうした小平奈緒の活躍をマスコミはどう伝えてきたか、また国内の関係者たちはどう受け止めてきたか、誰もが小平の活躍は国民一人ひとりに大きな力と希望を与えてきたことに間違いはない。マイナー的な競技である男子フィギャースケートの金、団体競技の女子パシュートの金、今大会から追加された新種目のマススケートの金、同じ金メダルでも小平の金メダルと比べればその重さは歴然と違う。
そして迎えた2週間後の世界スプリント選手権、休む間もない強行なスケジュールは誰の意図で決まったものか。オリンピック終了後、日本選手団の主将として関係者へのあいさつ等など多忙なスケジュールをこなして挑んだ小平奈緒。世界スプリントは、競技の公平さからインスタートアウトスタートの2回の合計タイムで争うものだが、500メートル、1000メートルを2日間で行うといった過密スケジュールも不運だった。しかし1日目では、500メートル優勝、同じ日に行われた1000メートルでも4位と総合点ではトップに立った。
そして、2日目、500mは不利なインスタートであったが僅差で優勝した。もう限界であったであろう、咳き込む小平の姿を見て、こんな姿は見るのも初めてだ。残す1000メートルを目の前に体調不良の理由で棄権という本人にとって如何ほど残念だったことか、普段の状態だったならば1000メートルも優勝もしくは上位につけ、総合優勝2連覇の金字塔を打ち立てたであろう。まことに悔しいと思うのは私だけか、31歳にしてこうした記録を打ち立ててきた小平奈緒の評価は余りにも低すぎる。それはまた、マスコミの煽動によってみんな一緒の掛け声で浮かれ者たちが牛耳ている今の世相の裏付けをありありと表しているといってもよい。負けるな小平奈緒、日本のスピード界にあって500,1000,1500,3000メートルとそのすべての記録を塗り替えてきた小平奈緒、敢然と輝く女王小平奈緒のスケート人生は、これからも多くの人に支えられ語り継がれていくだろう。、
2018.3.9