青天の霹靂イチローの移籍 |
正に電撃的なイチローのニュースである。記者会見のイチローをみて複雑な思いが過った。シアトルマリナーズのユニフォームを脱ぐことへの寂しさが如実に伝わってきた。あれほどの人物が、とその苦悩は察するに余りある。
大リーグ記録を次々と塗り替えていったイチローの実力を、当のマリナーズの監督以下関係者はどう評価してきたかである。彼らの心の中に「たかが日本人のくせいに!」といった人種差別的蔑視の節がなかったかである。それは欧米人のアジア人に対する蔑視の歴史がそこにある。
過日、日本プロ野球選手会がWBCへの参加拒否を表明した。そのことと何らかの関係があるのかもしれない。アメリカ人とは、そういう人種なのである。個を大切にするということは、身勝手な利己的な考えが常に先行し、それが風評となって野球市場を狂わしゆく。
常識ならば、12年間常に第一線で活躍し、リーグの記録更新を果たしてきたイチローの実績を考えれば、例え今シーズン不調であっても契約解除には至るまい。それどころかマリナーズの顔として、残留を求めるのが常識というものだ。ここに日米の考えに大きな隔たりがある。
このことは何も野球ばかりではない、全てにおいても言えることだ。時同じく、米軍輸送機オスプレーが上陸した。地元民の反対を押し切っての強行である。他人への配慮に欠けるアメリカ人の行動、これこそ世界はアメリカ的な暴挙であり行動である。
また、イチローがヤンキースに移籍しての最初の試合、それもマリナーズを相手にして、8番ライト所謂ライパチと背番号31の待遇をどう受け止める。前途多難な野球人生の門出となった。アメリカとはこうした考えのできる人種なのである。時には飴を、時には鞭である。これほどの記録を残したイチローを、ライパチとして使うヤンキースの神経、屈辱の一言に尽きる。
さて、この度のイチローの記者会見の言葉は、何にも代えがたい教訓を我々日本人に与えた。彼の心中の無念さを思うに、スポーツ関係者のみならず、NHK等放送関係者もしっかりと受け止め、大リーグという巨像に対し、厳しい姿勢で臨んでほしい。
2012.07