見えない消費税法案、政治生命はお門違い

野田総理が政治生命をかけると豪語してまで進めている消費税値上げ法案、社会保障を含めた一体改革、何のために誰のための法案なのか、全く国民には見えてこない。庶民は誰ひとりとして、値上げを歓迎するものなどいまい、にも拘らずである。民主党内の賛否両論、マニフェストを無視したことへの反発が小沢氏を筆頭に反対派議員の考え方の基本となっている。この考え方こそ政権与党のあるべき姿ではないか。

弱い立場の庶民の声に耳を傾けず、所得が低い世帯には還付金をと、まるでお恵みを与えるかのような傲慢な姿勢は断固許しがたきものである。これでは、封建社会、権力社会と何ら変わるまい。もし仮にそれが分かっていても値上げを進めねばならない理由がどこにある。

端的にいえば、ヨーロッパ経済の疲弊に対する支援、アジア諸国への支援、米軍基地移転に伴う支援と、須らく国民には無関係な対外支援のためではないか。それもアメリカの属国よろしく、消費税を値上げをし、その財を基地負担に回す狙いがあってのことであろう。いつまでたっても日本のための国民のための政策は遠のくばかりである。連綿と続いた自民党政権の二の舞を踏まざる得ない弱小国家の選択肢である。

正に独り立ちのできない小人国家といわざるを得ない。寄らば大樹の陰というが、この甘い考えから脱皮しない限り日本独自の道は開けまい。独り立ちするにはそれ相当のリスクは伴う、それを恐れて今日までのうのうと明け暮れてきたことへの反省を強く求める。

過日民放テレビに出演した石原東京都知事が「一番ダメなのは外務省だ」と外務省を名指しで批判した、正にその通りであろう。国際舞台における我が国の発言力のなさを考えれば、その原因が外務省の弱腰と怠慢にあったとみるべきである。今、野田氏が政治生命をかけるのは、消費税率アップ法案ではない、独り立ちできる日本を構築することだ、そして弱い立場の庶民のための政治の実現にこそ全力を傾けるのが本道というものだ。

2012.05


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