無罪判決から一転再控訴をどうみる |
小沢氏に対する検察審査会の強制起訴は先月26日無罪の判決が下された。これに不服として検察官役の指定弁護士3名が東京高裁に控訴したという事件、正に事件である。無理にでも小沢氏を罪人に仕立て上げるための告訴としか言いようがない。この指定弁護士とは何者か、過去の政治家の事件にも顔を出さない輩たちが検察官役というレッテルを貼り、法曹界をかき回すのか。
これが日本の現実の社会かと驚く、たかが民間人から選ばれた6人の検察審査委員が、不起訴になった事件をおかしいと告訴できる仕組みこそ見直すべきではないか。東京地検の無罪判決、それを蒸し返すような今回の告訴をみれば、一旦彼らに睨まれれば如何に潔白であっても身の自由は奪われ活動は規制されなくてはならない。
こうした恐ろしい法曹界を国民はどう捉えるのか、正に罠に嵌めようとする行為である。その狙いが、ここにきてはっきりと見えた。それは、党員資格停止処分の解除に合わせた余りにもタイミングの良さがあるからだ。何のため、当然小沢氏が国会に登城し民主党議員として活動すれば困る人物や団体があるからではないか。野田政権は消費税引き上げを今国会で決めたいと高飛車に出れるのもこの告訴を見据えたからであろう。
政界にとり付く黒い影こそ払しょくするのが国民の務めである、国民は消費税など引き上げても誰も喜ぶまい、だがそれによって国の資金が増えるなら、それを狙っている輩たちにとっては喜ばしいものだ。
普天間基地移設問題に絡む移転費用、ミャンマー、ベトナムへの円借款や支援金、先ごろ玄葉外務大臣は具体的な金額を持ち出し支援方針を述べた。今の日本に援助できる財源がどこにあるのだと怒鳴りつけたい気持だった。ところが、ここにも消費税引き上げによる資金確保の伝手がある。
野田総理以下若い大臣たちの資質がどうのというのでもあないが、アメリカ追従の政策がはっきりと見えたのである。どこまで腑抜けた政府、外務省たちと見下げても、アメリカから独り立ちできない国家を築いてきた歴史は、一朝一夕にはどうしようもない。
そのどうしようもない一つが今回の告訴である、小沢氏を政界から追放せよとばかりに、検察官役の大根役者たちに告訴を命じたのは誰なのか、正に恐ろしい権力の行使ではないか、平成維新と銘打った鳩山政権から元の木阿弥の独裁政治小泉時代に逆行しているのも事実であろう。
過日テレビ画面に小沢氏の資格停止解除の決定現場に前原氏の顔があった、政治資金規正法では外国人からの献金を禁じている、しかし彼はその献金のあったことを認めた上で「知らなかった」とコメントした。違反をしたその彼が何の罰則も受けず今また党の役職に就いている、このほうが余程おかしいと思うのである。
とぼけた告訴とはこのことを指す。陸山会収支報告書偽装事件で、代表の小沢氏の裁判では秘書や担当者が小沢氏の了解を得ないで処理するのは不自然だと、小沢氏の事件への関与を仄めかし、禁錮3年の求刑をした、正にこのほうが事件であり、指定弁護士の対応こそ非難されなくてはならない。これではいくら潔白でも不自然という極めて抽象的かつ個人的な思惑で求刑が成立するならば、法治国家の根底を崩すでっち上げ裁判となろう。
2012.05