何故、内閣不信任案は否決された

菅内閣不信任案が否決された、残念至極である。政策に対しての不信任案ではない、菅氏個人への総理としての不信任案であることは明らかだ。開会前、民主党代議士会という事前の工作の中で鳩山氏以下賛成派が一転して反対に回った。その理由に復興支援の目処が立ったら辞任すると曖昧な約束で屈した鳩山氏の実直さというか愚かさがある。いい迷惑を受けたのが小沢氏であり、小沢氏派の議員である。離党覚悟の不信任案賛成の態度が一変した、その仕掛け人が党の番頭役岡田氏であり仙石氏、枝野氏といった知恵袋の裏工作があったに違いない。

それにしても否決後の菅氏の答弁は相変わらず操り人形のように歯切れが悪い。「辞任という約束はしていない」とか「復興の目処というのはいつまでという期限付きではない」とのらりくらりの回答である。菅直人という人物に国民はあきれているのである。リーダーたる資質の問題を問いかけてきたのである。昨年、尖閣諸島沖の追突事件後来日した中国国家主席との会談で、メモ書きを見ながら会談に臨んンだリーダが過去におろうか、あきれるばかりであった。

政策云々の問題ではない、日本という国家のリーダとしての資質を問いているのである。団塊世代の短所はこうしたことに無頓着でいられる神経であろう。口は立つが実行力はない、これが戦後生まれの現代っ子のイメージである。菅直人正に然りである。

また、小沢一郎氏の態度にも絶望した、改革を期待していただけにこれで期待するものは何もなくなった。鳩山氏も同じ穴の貉か、「ペテンに掛けられた・・・」云々と菅氏を非難したが後の祭りである。騙す人間も悪いが騙される人間も悪いということではないか。腹の探り合いは国会本会議場でも見られた。松木氏にうろつく若手議員の説得?に涙を流す一コマがテレビに映った。どういう涙だったのか、小沢氏、鳩山氏に裏切られた悔し涙だったのではあるまいか。その彼は賛成の一票を投じた。

これが身も潔白な政治家の姿である、一方菅氏の番頭役である岡田氏は腹黒い政治家向きの悪相を曝け出していた。この二人どちらが今の日本に必要か、国民に問いかけてみたい。その答えが今の日本の素顔を表している。腹黒の政治家を好むのは何も池の鯉ばかりではあるまい。野党の要求を拒む、ただそれだけで反対票を投じたのか、己の身可愛さのあまり青票を投げ入れたのか。本人にしか分からないなんとも後味の悪い採決だった。

2011.06


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