丸木夫妻の原爆の図 |
丸木夫妻の描いた八曲からなる原爆の図を初めて見た。図書館の図版である。15部構成の屏風絵であるが、その中で特に強く引き付けられたのは、第1部から第8部までの図である。どちらが描いたのか分からないがいづれの図もその線描の凄さに目を見張った。とにかく凄い、足の指手の甲と指、何より女性の手の小指の表情、そして子供の表情と手の描き方が魅力的である。
(注)ここに取り上げた原爆図の写真はすべて丸木美術館のページから出展したものです。関係各位の了承をお願いします。
第1部「ゆうれい」
この絵は墨絵のようなモノトーンで描かれている。ここにも顔の輪郭手の表情、指の曲がり、胴体のくねりや足の表情が巧みな線で描かれている。5.6曲の図をスケッチブックに写してみたが、輪郭と顔の表情手足の指の表情を写すのが難しく何回も描き直してみた。
第2部「火」
この絵のすごさは、色もそうだが多くの男女の姿が隠し絵のように複雑に絡み合っている点だ。スケッチブックに写してみたが隠れている部分の描きだしには何回も繰り返さなくてはならないほど複雑な絵である。
第3部「水」
この絵の魅力は、母親が水中で乳を与えようと抱き上げたわが子はすでに死んでいた、その悲しみが顔の表情に強く刻まれ一度見たら忘れらえれないほどの迫力で迫ってくる。眉をひそめきりっと結んだ口元の表情から母親の悲しさと辛さが痛いほど伝わってくる。特に母親の子供を抱え込む左手の小指に注目する女性らしいしなやかさと母親のやさしさが表わされている。